今年も無事に年度更新の提出が完了いたしました。
今年の年度更新を通しての率直な感想は、やはり労働保険料が大幅に増加している会社が多いということです。
当事務所の関与先様は、比較的従業員数が増加傾向にある会社が多いので、当然に労働保険料が増加しているのですが、
今年はそれ以上にインパクトが大きかったのが、雇用保険料率の引き上げです。
そもそも、年度更新とは前年度(今年で言えば令和4年度)の労働保険料を計算して、昨年納めた概算保険料との差額を納めることなのですが、雇用保険料率が大幅に引き上げられているために、少しの賃金(保険料算定基礎額)の上振れで、労働保険料の大幅は増加に繋がってしまいます。
以下が直近3年間の雇用保険料率の推移です。(本人負担と会社負担の合算)
- 令和3年度 9/1000
- 令和4年度 4月から 9.5/1000
- 10月から 13.5/1000
- 令和5年度 15.5/1000
これを見てもお分かりいただけると思いますが、令和4年の上期に9.5/1000だった料率が、たった1年の間で15.5/1000へと60%以上も引き上げられております。
つまり、想定以上に人件費がかかってしまうと、結果的に労働保険料が大きく上振れすることになりました。
ちなみに、次年度の年度更新の際に不足額を少しでも抑えるためには、概算保険料を膨らまして見積もる方法がおすすめです。
特に、起業して間もない会社や、事業規模を拡大している会社の場合、概算保険料を実体に合わせておかないと、間違いなく年度更新の不足額が大きくなってしまいます。(本来の意味での概算保険料は、このように実体に照らして概算するものなのですが、原則は確定保険料と同額を入力することになっているため、概算になっていないケースが多い印象です)
もちろん、年度更新の後に事業が拡大することになった場合は、増加概算保険料を申告することも可能です。
増加概算保険料の申告・納付
現行、年度の中途において、事業規模の拡大等により賃金総額の見込額が当初の申告より2倍を超えて増加し、かつ、その賃金総額によった場合の概算保険料の額が申告済の概算保険料よりも13万円以上増加する場合は、増加額を増加概算保険料として申告・納付することとなっています。
厚生労働省 『労働保険料の申告・納付』
今年度中に賃金の大幅な増加が見込まれる場合は是非参考にしてください。