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雇用保険に関するQ&A公開しました。

本日(令和5年4月25日)の日本経済新聞朝刊に興味深い記事がありましたので
雇用保険について取り上げようと思います。

参考|日本経済新聞『バイト・パートに雇用保険 政府検討、労働移動促す』

そもそも雇用保険って何?

雇用保険と「保険」という名前が付いているように、労働者の「生活および雇用」と「就職の促進」を行うことが雇用保険の目的です。
もう少し具体的に説明しますと、労働者が何らかの事情で会社を退職したり、育児や介護が理由で仕事を休まないといけない、
というような日常生活を脅かされる事態
に直面した際に、給付を受けることができるのが雇用保険の役割です。

雇用保険制度は、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です。

参考|厚生労働省 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!

会社に就職し、雇用保険に加入することで、安心して仕事を続けていくことができます。

雇用保険の加入条件とは?

ただし、会社に入れば誰でも雇用保険に加入できるわけではありません。

雇用保険に加入するには、次の①②の両方に該当することが条件になります。

①1週間の所定労働時間が20時間以上である。
②31日以上雇用されることが見込まれる。

また、会社の役員の方日中は学校に行く昼間学生などは上記の条件を満たす労働契約を締結しても、雇用保険に加入することはできません。
(休学中や卒業見込み者であるときなどの特別な条件を除きます)

今回の日経新聞の記事には、上の条件から外れている週の労働時間が20時間未満のアルバイトやパートタイマーの方も、今後雇用保険に加入できるように検討が進められているということが記載されております。

雇用保険は同時に何社まで加入できる?

雇用保険に加入できるのは1社のみです。

ダブルワークなどで2つ以上の企業に勤める従業員は、生活を維持するのに必要な賃金を主にもらっている企業(賃金が多い方)の1社のみの加入となり、2つ以上の企業で加入することはできません。
主たる賃金がはっきりしないときは、雇用保険に加入する企業1社を従業員が選択することになります。

雇用保険に加入することで受けられるサービスは?

雇用保険の給付には大きく分けて「失業等給付」と「育児休業給付」があり、
更に「失業等給付」の中には、

  • 求職者給付
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付
  • 雇用継続給付

と4つの給付が存在します。

更に「求職者給付」の中に・・・と細かくお話すると10を超える給付が存在しますので
今回は代表的な給付について説明いたします。

基本手当

いわゆる「失業手当」のことです。
失業時や、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に、失業中の生活を守るために支給される手当です。

再就職手当

再就職手当とは、基本手当の受給資格を満たしている人が、受給資格の決定を受けた後に早期に再就職先が決まった場合に支給される手当です。

就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで残っている所定給付日数(支給残日数)により異なります。
また、再就職手当の額を算出するにあたっては、年齢により基本手当日額に上限があります。

【計算式】

●支給残日数が2/3以上の場合
 ⇒支給残日数×70%×基本手当日額

●支給残日数が1/3以上の場合
 ⇒支給残日数×60%×基本手当日額

教育訓練給付金

労働者の主体的なスキルアップを支援するために、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・終了した方にその費用の一部が支給される制度です。

  • 専門実践型教育訓練
  • 特定一般教育訓練
  • 一般教育訓練

令和5年4月時点では、上記の3種類の教育訓練が用意されており、それぞれに給付率が異なります。

育児休業給付金

育児休業給付金は、雇用保険に加入している方が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得して、以下の要件を満たした場合に支給されます。

  • 1歳未満の子を養育するために、育児休業を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。
  • 育児休業を開始した日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は就業した時間数が80時間以上の)月が12か月以上あること。育児休業を開始した日前2年間に上記の月数が12か月ない場合であっても、当該期間中に第1子の育児休業や本人の疾病等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、受給要件が緩和され、支給要件を満たす場合があります。
  • 1支給単位期間(育児休業を開始した日から起算した1か月ごとの期間)中の就業日数が10日以下または就業した時間数が80時間以下であること。

【計算式】
育児休業給付の1支給単位期間ごとの給付額は、
「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から181日目以降は50%)」
により、算出します。

※休業開始時賃金日額は、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で除した額です。

令和5年4月より雇用保険料率の変更

雇用保険の保険料は毎月の給与から天引きをされて徴収されますが、その保険料率が今年の4月より変更(アップ)されております。

詳細は『令和5年度の雇用保険料率が決定』という記事を書いておりますので、そちらも併せてご確認ください。

まとめ

ここまで雇用保険の給付内容や加入条件について記載してきましたが、労働者が安心して働くため、そして更なるスキルアップをするためになくてはならない制度だということが理解いただけるかと思います。

一方で、雇用保険に加入したくても加入できない、週20時間未満で働くアルバイトやパートタイマーの方は、失業手当や育児休業給付金を受給できないという問題も残されております。

今回の政府の動きはこうした方々の受け皿を作るという意味で非常に意義があることだと思います。
そして、そのためには現状月11日以上(あるいは月80時間以上)勤務した月が12か月以上、というような給付に至るまでの制度設計から見直しをする必要があります。

これからの雇用保険の動向については、今後もホームページで発信していこうと思います。

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